金庫の鍵が開かない…鍵が空回りする!

「開かずの金庫」いったいどうしたら?
実印を出しておいて、と言って夫は嬉しそうに出勤していった。
ここしばらく新しいクルマを買うのだと言っていろいろ見に行っていたのだが、ついに決めたようだ。
実印…いったいどこにしまっておいたっけ?と考えて、そうそう金庫だったと思い出す。
前回使ったのがこの家を買う手続きをした時だから、もう15年も前のことだ。入れてある金庫自体も、確かあの時開けたのが最後のような気がする。見てみると、金庫の上にはうっすらと埃が積もっていた。
我が家の金庫は家庭用の小型のタイプ。中に入っているのも、実印のほかにはちょっとした書類やほんの少しの株券などで、それほど大したものではない。
結婚前から夫が使っていたものだから、ずいぶん年代もののはずだ。その証拠に、いま主流のテンキーがついているものではなく、ダイヤルを回して鍵をさしこむという昔ながらの開け方のタイプのものなのである。
そういえば前回開けたときは、このダイヤルがなかなか合わなくて、ずいぶん苦労したものだった。何度もやり直したおかげで、ダイヤル番号は今でもしっかり覚えているくらい。
さて、今回は一発であけてやろう、とダイヤルに手をかける。
まずはリセットさせるためにグルグルと10回程度回す。
そして右に左に合わせて4回、ピッタリ番号を止めるのがコツなのだ。
ダイヤルは金庫の古さを感じさせないくらい、カチカチいい音をさせて回った。
よし、今回は失敗していないはず。
番号を合わせ終わったら、あとはキーを差し込んで回すだけ。楽勝、と思っていたのだが…
どうも様子がおかしい。
鍵穴の中でキーが空回りしているのだ。何にも引っかからず、手ごたえのないままクルクルと回ってしまう。せっかくダイヤルを正確に合わせても、これでは金庫は開けられない。
さて、どうしよう…。
私は「開かずの金庫」を前に、途方に暮れてしまった。
金庫が必要な時に開かないと、大変困ってしまいますね。
業務用で売上金が入っている場合など、状況によっては、すぐに開けなければならないこともあるかもしれません。
特にこれといって思い当たるフシがないのに、急に金庫の鍵が開かなくなってしまった。
そんなとき、いったいどうしたらいいのでしょうか?
勘違い!金庫は半永久的には使えない!?
ご自宅でお使いの金庫、いつからそこにあったか覚えていますか?
3年前?5年前?10年以上前でしょうか。
金庫は頑丈なイメージもあってか、一度買ったらそうそう買い替えるものではない、半永久的に使えるものとお思いの方も多いようです。親の代から何十年もずっと使っているというケースもよくあります。
けれど実は、金庫にも「寿命」があるのです。
金庫の寿命、正確には「耐用年数」は、20年と決められています。
意外に短いと思われるかもしれませんが、これにはきちんとした理由があります。
金庫の耐火材の主流は、発泡性のコンクリート。その耐火材の中の25パーセントは水分(水結晶)が占めています。火災時には熱により、耐火材中の水分が蒸気となって気化熱を奪います。これによって温度上昇を抑えているのです。
このように耐火材の中の水分は必要不可欠なものですが、金庫を長期間使っているうちに少しずつ蒸発してしまいます。水分が少なくなると本来の耐火性が発揮できなくなり、月日とともに性能が低下してしまいます。
日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会の調査では、製造後20年経過すると、水分量のおよそ20パーセントが焼失され、本来の耐火性能を維持できなくなることが検証されました。
このことから、基本的に有効耐用年数は、金庫製造からおよそ20年とされ、20年前後を基準として金庫を交換する事が推奨されています。
耐火性だけではなく、鍵も同じ。20年もすれば劣化してしまい、鍵が回りにくくなったり、開けにくくなったりしてきます。中には冒頭のストーリーのように、急にキーが空回りするようになり、扉を開けられなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
鍵トラブルの原因とお手入れ方法はコレ!
とはいえ、一度買った金庫はできるだけ長く使いたいものですね。
トラブルなく、長持ちさせるためにはしっかりしたメンテナンスがとても大切です。
実際に、金庫が開かない原因のほとんどは「メンテナンス不足」。そこで、原因を確認し、日頃からできる金庫の鍵のお手入れをチェックしてみましょう。
歯ブラシで鍵を掃除する
服のポケットや鞄の中に鍵をそのまま入れておくと、ポケット内のホコリや小さな異物(ゴミなど)が鍵の凹凸の部分や溝の部分に入り込んでしまいます。
このような付着物があると鍵が入りづらくなったり、回りにくくなったりすることがあるため、気が付いたとき早めに取り除いておかなければなりません。
鍵の掃除はとても簡単。歯ブラシなどで溝や凸凹部をこすり、ゴミを掻き出すだけでOKです。特にディンプルキーなどは汚れがたまりやすいので、定期的なお手入れをお勧めします。
鍵に鉛筆の芯を塗りこむ
鍵穴の中には、もともと、鍵の滑りをよくするために潤滑油が入れられていますが、
長年使っているとその潤滑剤も少しずつ減ってしまうため、滑りが悪くなる、回りにくくなるなどのトラブルが起きてきます。
そんな時に有効なのが、「鉛筆を鍵に塗りこむこと」。
鉛筆なんて…と意外に思われるかもしれませんが、実は含まれている黒鉛が、潤滑剤の役割を果たしてくれるのです。
ポイントは、Bや2Bなど、できるだけ色の濃い鉛筆を使うこと。色が濃いほど黒鉛の量が多いため、潤滑剤としての役割もよくなります。
また、食用油や市販の潤滑剤は絶対に使ってはいけません。サビや故障の原因となってしまいます。
掃除機で鍵穴を掃除する
長期間に渡り清掃がされていない鍵穴内には長年に渡って降り積もったホコリや小さなゴミが沢山溜まってしまっているケースがよくあります。
これらが鍵穴の中にある凹凸溝に入り込むと、鍵と溝のかみ合わせが悪くなり、鍵が入りづらくなったり回りにくくなることがあります。
このため、鍵穴も定期的に掃除をすることが必要です。掃除機を使って鍵穴の中に入っているゴミを吸い取りましょう。掃除機を使うのが面倒な場合は、パソコンのキーボードやカメラの部品などの掃除に使うエアダスターを使うとよいでしょう。
鍵穴専用の潤滑剤でメンテナンスする
最後に、鍵穴専用の潤滑剤で鍵穴をメンテナンスしてあげると完璧です。
ホームセンター等に行けばこの潤滑剤は購入できますし、最近はネットでも購入ができます。価格も数百円から2千円程度で販売されています。食用油や一般の潤滑剤は故障の原因になるため絶対に使用しないこと!必ず鍵穴専用のものを使ってください。
中には専門業者が破壊しなければならない場合も…
金庫が開かなくなってしまった、というお問い合わせの中には、「ダイヤル式金庫のダイヤルが空回りしてしまう」というケースもよくあります。
これも長く使っているから起こるトラブルのひとつ。
金属の劣化によって中の部品が折れてしまうと、このような事態に陥ることがあります。
万が一ダイヤル自体が故障してしまった場合は、破鍵といって、ダイヤルを壊して開ける必要も出てきます。壊すだけだから簡単と思われるかもしれませんが、時間も手間もかかる大変な作業です。
解錠後、新しいダイヤルを取り付ければ再び使える状態になりますが、金庫の種類によってはダイヤル部以外も壊さないと開けられない場合もあるため注意が必要です。
優れた専門業者なら、いざ破鍵となっても必要最小限の部分のみの破壊で解錠することができるでしょう。時間の許す限り調べて、信頼のおけるよい業者を探したいものです。
万が一の時は弊社にご相談を!
あまりにも私たちの身近にあり生活に密着しすぎているせいでなかなか意識することはありませんが、鍵は本当は「精密機械」。
きちんとしたメンテナンスは欠かせませんし、経年劣化で壊れることもあります。
万が一のことにならないためにも、日頃からお手入れはしっかりしておきましょう。
それでももし、大切なものが入っている金庫が急にあかなくなってしまったら、いったいどこに連絡すればいいの?
答えは「鍵の専門業者」です!
私どもは鍵のプロとして、さまざまな金庫を見てまいりました。
安心と実績のある弊社へぜひご相談ください。専門スタッフが誠心誠意対応させていただきます!
この記事を監修した専門家

監修 (一社)日本刑事技術協会
代表理事
森 透匡
(もり ゆきまさ)
元千葉県警の警部。約20年にわたり、詐欺、横領、贈収賄などの知能・経済犯罪を筆頭に、殺人事件、薬物事件、組織犯罪などの犯罪捜査に従事。現在は一般社団法人日本刑事技術協会の代表理事として15名以上の警察OBが所属する団体を運営し、多種多様な犯罪に関する防犯講演、商品監修、TVなどのマスコミ出演、マッチングアプリ大手運営会社の詐欺防止に関わる有識者会議委員、「高齢者を身近な危険から守る本」の監修など知見を活かした幅広い活動に尽力している。
金庫の鍵が開かない、空回りする問題に対処するための記事は、実際の緊急時に非常に役立つ内容を提供しています。金庫のメンテナンス不足が主な原因であること、そして日頃の手入れ方法が紹介されています。金庫のセキュリティ維持は財産保護に不可欠であり、この記事が提供する予防策と対処法は価値があると感じます。



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