【高槻市】金庫ダイヤルの鍵開け
修理箇所 | 金庫の鍵 |
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修理内容 | ダイヤルの開錠 |
メーカー | EIKO |
その他 | |
場所 | 大阪府高槻市 |
金庫のダイヤルの鍵開け
午前10時ごろ高槻市にお住いのお客様からお電話がありました。
ご相談の内容は、ご自宅の金庫のダイヤル番号の解読及び開錠でした。
伺ったご自宅は大きな庭のある2階建ての1軒屋でした。
インターフォンで来訪を告げるとすぐに白髪の女性が出迎えて下さいました。
話によるとこの家の持ち主であった叔父がなくなり、唯一親戚関係のあるお客様が、管理を兼ねて10年前から住んでいるということなのですが、今回家を売り老人ホームに移り住むことになっているようです。
そこで以前から気になっていた金庫を開けて、しっかりと整理をしたいということで今回ご相談のお電話をくださったとのことでした。
金庫は書斎の押し入れの下の方にありました。金庫メーカーはEIKOでした。
金庫は叔父の遺品でもあるのでできれば壊さずに開けてほしいとのことでした。
鍵屋さんの中にはテレビドラマで見るようにダイヤルを回しながら音を確かめて番号を調べる人もいるのですが、私はもっぱらオートダイヤラーを使っています。
オートダイヤラーは機械が総当たりでダイヤルを回して正解を見つけるので、多少時間はかかりますが、損傷もなく確実にあけることができます。
古い金庫の場合ダイヤルがさびて動かないことなどもあるのですが、今回は特に問題はありませんでした。
金庫の近くにあったという鍵も問題なく鍵穴にいれて使うことができました。
オートダイヤラーを設置し作動させてから、お客様に「6時間程度で開錠できると思いますので、私はいったん帰りますが、明日何時ごろお伺いしたらよろしいでしょうか」と尋ねました。
それを聞いたお客様が、もしお時間があるなら少しお茶でも飲んでいってくださいと仰られたので、お言葉に甘えて少しお茶をいただきました。
そのときにお客様が叔父との思い出をお話されたのでお聞きしました。
お客様の叔父様は高槻市で不動産会社を経営していたそうです。
好景気のころにはかなり羽振りが良かったようで、一度はご結婚もされたようなのですが、その数年後不景気になり、経営不振のせいかはわかりませんが、離婚してしまわれたそうです。
その後は、細々と不動産会社を経営しながら一人でこの家で暮らしていたそうなのですが、心臓麻痺で孤独死され、今はお客様がこの家を受け継ぎ住んでいるとのことでした。
叔父様は、景気の良いころは食事会や旅行などにも招いてくれてとても自信に満ちた社交的な人だったようですが、離婚されてからは陰鬱な感じになってしまい、会う機会もほとんどなく疎遠にしていたそうです。
それがお互いにとってよい距離感なのだと思っていたようなのですが、叔父が亡くなってからは、もっと生前に交流をしておけばよかったと思うようになったそうです。
そういった未練もあり、家の整理をしているときに見つかった金庫の中身をきちんと知りたいと思ったそうです。
1時間ほどたち、お話も一段落したのでそろそろいったん帰社しようと思っていたところ、オートダイヤラーが番号を解読していたので、さっそく開錠しました。
番号は19,90,05,21でした。
金庫の中には証券などの類はありませんでしたが、写真がいくつか出てきました。
お客様が写真の若いころの叔父様を見て懐かしんでいて、開錠して良かったなと思いました。
私も写真を見るようにすすめられて、見てみると新築のこの家の前でご家族と一緒にとった写真がありました。
そして、その写真の日付は1990年05月21日とありました。
お客様の話では、結婚した直後にマイホームを購入したときの写真だそうです。
私はそれを聞いて、お客様の叔父様は、マイホームを買った日付がとても大事だったのだろうと思いました。
そしてその忘れることのない特別な日付を自分の金庫の番号にしていたのだろうと思いました。
お客様もダイヤル番号はこの日付に間違いないでしょうねといって、涙を流していました。
お客様がこの家を売って引っ越す前に金庫の中の大事な思い出を取り出すことができて良かったと思いながら高槻市を後にして帰社しました。