【栃木県宇都宮市東峰町】「MIWA」玄関の鍵の開錠交換事例

快晴の空を見上げながら、私は急ぎ車を走らせました。
目的地は宇都宮市東峰町の空き店舗。少しでも早く不安を解消するため、現場へ向かったのです。
事の始まりは、朝10時を少し過ぎた頃にかかってきた一本のお電話でした。
不動産会社のK.T様からで、「11時には現地で立ち会えます」と、時間を指定してのご依頼です。
「前の入居者が鍵を返却しておらず、手元に一本も残っていないんです。
新しい内見の予定もあるので、開錠と交換を急いでお願いできませんか…」
電話口からは穏やかな声でお話しいただきましたが、その中には切迫した不安がにじんでいました。
新しい入居者を迎える大切なタイミングだからこそ、安心を整えることが最優先――そう強く感じた現場でした。

11時ちょうど、東峰町の商店街の一角にある二階建ての店舗前に到着しました。灰色のシャッターが降ろされたままの建物は、人影もなく静まり返っており、少し物寂しい雰囲気を漂わせていました。すでにK.T様は到着されており、スーツ姿で爽やかな笑顔を浮かべながら出迎えてくださいました。その表情からは、鍵の問題を早く解決したいという切実な思いと、こちらへの信頼が感じられました。

店舗入口の扉を詳しく確認すると、シリンダーは頑丈な防犯タイプで、鍵穴は残されているものの、手元には一本も鍵がありませんでした。この状況では通常の方法での解錠は不可能と判断せざるを得ません。そこで、K.T様に破壊開錠の必要性と、同タイプの新品シリンダーへの交換について改めて丁寧にご説明しました。状況を理解されたK.T様は安心された様子で了承され、そのまま作業を開始することとなりました。

まず防犯シリンダーの構造を確かめ、専用の工具を用いて慎重に破壊開錠を進めていきました。金属を削る微かな音が、静まり返った商店街にかすかに響き渡ります。火花が散らないよう、工具の角度や力加減を細かく調整しながら作業を続けること数分。やがてシリンダーが「コトリ」と音を立てて外れ、扉がゆっくりと開きました。中からは、しんとしたひんやりした空気が流れ出てきて、長く閉ざされていた空間であることを物語っていました。

次に同タイプの新品シリンダーを取り付けました。まずは取り付け穴を細かく調整し、内部の噛み合わせを一つひとつ確認しながら作業を進めます。何度も鍵を差し込み回しては、スムーズに開閉できるか慎重に確かめました。やがて新品の金属が「カチリ」と軽快な音を響かせた瞬間、私たち作業員もようやく肩の力を抜くことができました。続いてK.T様にも実際に操作していただくと、鍵が滑らかに回る感触に安心された様子で、「これなら大丈夫ですね」と満足そうに頷かれました。

作業は予定通り無事に完了しました。K.T様は安堵の表情を浮かべながら、「これで今日の内見に間に合います。本当に助かりました」と感謝の言葉をかけてくださいました。その一言に、私も思わず笑顔がこぼれます。静まり返った扉の向こうには、これから新たなオーナーやテナントによる物語が始まっていくのでしょう。その第一歩を、私たちが取り付けた新しい鍵がしっかりと見守り、守っていくのだと感じました。

作業を終えて車に戻る際、物件の前に立つK.T様が、どこか肩の荷が下りたような表情でスタッフにスマートフォンで連絡を取っている姿が印象的でした。玄関の一つの開錠作業が、次の入居者の新しい生活の始まりへとつながっていく――その瞬間を支える責任の重さを、改めて胸に刻む現場となりました。

今回は破壊開錠から交換まで含めておよそ40分程度で完了。鍵の仕事は単に「ドアを開ける」ことではなく、そこにある人の事情や時間、生活のリズムに寄り添うもの。今日の作業はまさにその典型であり、改めてこの仕事に誇りを持つ一日となりました。