【栃木県宇都宮市宝木町】「アルファ」玄関の鍵の取り付け事例

朝の空気がまだ少し冷たい時間帯、宇都宮市宝木町からご依頼のお電話がありました。
お電話をくださったのは70代の男性、N.K様。声は落ち着いていらっしゃいましたが、その奥には「どうしたらいいのか」という迷いがにじんでいました。
「玄関の引き違い戸の錠前なんですがね……自分で部品は用意したんです。
でも、どうしても取り付けができなくて……悪いけど、取り付けだけお願いできませんか？」
挑戦したもののうまくいかず、途方に暮れているお気持ちがその言葉から伝わってきます。
錠前は見た目以上に複雑で、細かな位置調整も必要。力任せでは解決できず、専門の技術が欠かせません。
「このままでは鍵が付けられない」という不安の中でご連絡くださったN.K様。
作業が完了したあとは、ほっと安心された笑顔を見せてくださいました。
ご自身で頑張られたからこそ、無事に鍵が取り付けられた安心感もひとしおだったのだと思います。
その笑顔に、こちらもあたたかい気持ちになれた現場でした。

現場に到着したのは午前10時50分。住宅街の一角に建つお宅は、手入れの行き届いた庭木と白い外壁が印象的で、N.K様が穏やかな笑顔で出迎えてくださいました。玄関に案内されると、新しい錠前と工具がきちんと並べられており、何度も挑戦された跡がうかがえました。その様子から、N.K様の努力と慎重さがひしひしと伝わってきました。

確認したところ、引き違い戸の框（かまち）にはわずかな歪みがあり、さらに既存の戸との間に微妙な高さの差が生じていたため、取り付け作業が難しくなっていました。こうした微妙な調整には専門的な知識と経験が必要であり、DIYで挑戦されても苦戦されるのは当然の状況でした。

手袋を装着したあと、まずはレーザー水準器を使って既存の戸の水平を確認しました。続いて新しい錠前を仮置きし、取付位置を0.5ミリ単位で丁寧に調整していきます。鍵のかみ合わせを何度も確認しながら、ネジを締めては緩め、細かな微調整を繰り返しました。。

新しい錠前を箱から取り出して仮合わせをしてみると、やはり微調整が必要で、取り付け穴の位置にわずかなずれがあることが分かりました。ここからが職人の腕の見せ所です。ケガキを引き直し、金属ヤスリで丁寧に削って微調整を行い、取付位置を正確に修正していきます。最後に新しい錠前をはめ込み、スムーズに動くかどうかを確認しました。

「いやぁ、本当に助かったよ。自分で何でもやってみたい性分なんだけど、やっぱり歳を取ると目も手も思うように動かなくてね」とN.K様は少し照れくさそうに語られた。

作業を終えたあと、お茶までご馳走になり、庭に実る柿の木やご自身の若い頃の思い出を聞かせていただきました。
「昔は大工仕事もよくやったんだよ。だから今回もやれると思ったんだが、やっぱりプロには敵わないなぁ」と、笑みを浮かべながら語られる姿がとても印象的でした。
お客様の笑顔に触れ、安心していただけたことを実感しながら現場を後にしました。小さな作業の一つひとつが、暮らしの安全と心の平穏につながっていることを改めて感じた一日でした。

お支払いもその場で済ませていただき、最後には「また何か困ったら必ず頼むよ」と力強いお言葉をいただきました。お宅を後にする際、庭先の柿の実が陽光を受けて輝いて見えたのは、作業を無事に終えられた安堵感からそう感じたのかもしれません。