2025年4月の曇りがちな朝方、吉見町大串のH.N様からメルセデスベンツのスマートキー作成のご相談を受けた。電話口のH.N様は涙声まじりの口調で、スマートキーが反応しなくなり車を使えない状態とのことだった。道は空いており、連絡を受けてから約45分で現場に到着した。閑静な住宅街の広い駐車スペースに、シルバーのメルセデスベンツが停まっていた。2020年式のCクラスで、H.N様は20代後半の女性、車両の前で静かに待っておられた。到着するとすぐに状況の説明をしてくださった。調査は10分程度で完了した。スマートキー内部のトランスポンダーチップに異常が確認された。メルセデスベンツは高度なセキュリティシステムを搭載しており、純正のスマートキーであっても内部の電子部品が劣化すると認証が通らなくなることがある。H.N様のケースでは、キー内部の基板に微細なクラックが入っており、信号の送受信が不安定になっていた。お見積もりとして44,000円をご提示した。メルセデスベンツのスマートキー作成は、国産車と比較すると専用の診断機器とプログラミング技術が必要となるため、費用が高めになる傾向がある。H.N様は淡々とメモを取り始める様子で、「交換が必要なのか、まず調整で直せる可能性はないか」と尋ねられた。今回のケースでは基板の物理的な損傷が原因のため、修理での対応は難しく、新規作成が必要である旨をお伝えした。作業は約20分で完了した。まずエマージェンシーキーでドアシリンダーを解錠し、車内に入った。OBDポートから専用診断機を接続し、車両のセキュリティ情報を読み取った。メルセデスベンツはイモビライザーの設計が精密で、正規の手順を踏まないとキー登録ができない仕組みになっている。新しいスマートキーにトランスポンダーチップを組み込み、ECUへの登録を行った。キーブレードもカットし、緊急時のドア解錠にも対応できるようにした。メルセデスベンツのスマートキーシステムは、セキュリティ面で非常に優れている反面、故障時の対応には専門知識が必要となる。正規ディーラーでの作成は数週間かかることもあるため、急ぎの場合は専門業者への依頼が現実的な選択肢となる。作業完了後、スマートキーでの解錠・施錠とエンジン始動を確認していただいた。H.N様は安堵した表情を見せられ、「無理に交換をすすめられず、まず調整から提案してくれました」と感謝の言葉を述べられた。スマートキーの故障を防ぐためには、強い衝撃を与えないこと、水濡れを避けることが大切である。スペアキーを用意しておくことも、万が一の備えとして有効である。